【イベントレポート】酒田市山元地区魅力発見ワークショップに参加してきました!!

暑さも落ち着き、肌寒さを感じるようになってきた10月末の土曜日。

酒田市平田地域にある山元地区。こちらで地域資源の活用について考えるワークショップが行われた。

会場は田沢地域山元地区にあるやまもと農村交流センター。

この地域に住むの方の交流拠点として運営を続けてきたが、現在なかなか地域の外から若い人が来ないため、酒田市の計画で数年後に取り壊すという話もあるのだ。

今回のワークショップは、このやまもと農村交流センターを使って、地域外の方を呼びフィールドワークを通じて、山元の魅力を活用したアイデアを出すというもの。

山元という地域は57世帯、人口にしたら150人程度の、高齢化率51.4%の小さな場所だ。山形県でいうと県内唯一の有人離島である飛島と同じくらいの規模感。町の観光資源は、小林温泉や旧阿部家といった文化財、その他に田沢川ダム・不動杉、不動滝といった観光資源があり、2年前に地域おこし協力隊が地域に入り、地域の方と一緒に手作り公園を作り出そうという動きも出てきた。

(製作中の手作り公園)

(そば花)

山の中にある集落なので天然の山の恵みも豊富で、もだしのような珍しいキノコも採れたり、広々と広がるソバ畑や川も流れている。その川のそばではモクズガニいわゆる「川ガニ」が生息している。

国道345号沿いにある酒田市南部コミュニティセンターを山の方に入り、山道を進んでいった先にやまもと農村交流センターはある。24年前に建て替えが行われたこともあり、キレイなコミュニティセンターであった。

会場の中に入ると、今回の会の主催であるやまもと会議の会長であり、田沢コミュニティ振興会副会長の櫻井静悟さんと事務員の齋藤志保子さんが迎えいれてくれた。

奥にはこの会で振舞われる郷土料理「里山御膳」をこしらえる、「わいわい工房」の姿が。こちらのお母さん方は、やまもと農場からとれた安全安心な米・野菜・白炭などの農産物を心を込めて振舞い食文化を発信していくボランティア団体だ。この日のために、朝8時からおいしいご飯を準備してくれていたという。ますますお昼時が楽しみになってきた。

10時の会のスタートに合わせて、徐々に人も集まってきた。田舎暮らしに興味ある大学生、地域づくりに興味のある大学生、手仕事やイラストをナリワイとする方、研究者、フリーランス、地域おこし協力隊、自治体職員などさまざまな属性で地域内外から21名が集まった。

参加者が揃うと今回の運営を担うSukedachiCreative庄内の青木啓介さんの進行の元、このワークショップがスタート。まずはじめに櫻井さんからご挨拶、参加者の自己紹介が行われるとフィールドワークへ。

やまもと農村交流センターから旧阿部家の方へ向かうと、途中「鮭川村まで19km」と書かれた大きな看板があった。これは旧阿部家へ向かうこの道が、最上・鮭川村とつながる道路で、幻の県道と言われている。まだ国道47号もない頃内陸に行くにはここの林道を通って内陸の方に行くしかなく、この道路を整備して庄内と内陸の玄関口になろうとしていく構想があった。

500メートルほど歩くと、茅葺屋根の歴史ある古民家・旧阿部家へ到着。江戸時代に建立したというこの家は、山奥にひっそりとあった。

この旧阿部家は、元禄三年(1690年)に創建され、地区の農家のまとめ役である「肝煎(きもいり)」として坂本新田村の阿部喜助が住んでいた家だ。現在は酒田市指定文化財として、江戸時代の庶民の暮らしが息づく場所として知られている。

中へ入ると、農機具、蓑、ばんどり、いろり、土間などの当時の暮らし使われていたの品々があった。

この館の管理人である、長堀麗仁さんがこの施設について教えてくれた。

この昔ながらの暮らしを伝える古民家である旧阿部家。その広間に大きくスペースをとって飾られる雛人形は全部で700体近くあり、もともと冬場の内職としてここで作られたものもあれば、この地域の方からもらったもの、また、現在ここで行われているアクリル絵の具を使った色付け体験で作ったものもあるという。今展示されているものは平成10年に作られたものでわりと新しいものだ。

この館には武家の入口と、それ以外の方の入口と分かれている。

私たちが正面玄関と思って入ってきた入り口は一般用で、雛人形のあるそばの入口が武家の方の入り口だと言う。この家を見てわかるように、武家と庶民の待遇の違いなど当時の生活を知ることができる。

(麻疹様(赤)・疱瘡様(白))

また、こちら当時の暮らしの伺えるおもしろいものが出てきた。俵の両端につける蓋を逆さにして、その真ん中に払いのついた竹をつけたもの。こちらが麻疹様(赤)・疱瘡様(白)。昔、身内がはしかや疱瘡などの病気にかかった時に作り、この蓋いっぱいに小豆ご飯をのせて、病気が治ったあとにみんなで食べた。病気は一度かかると免疫がつくということでお祝いの意味もあったのだとか。病気の間学校を1週間ほど休み、休み明けに子どもの家に近所の家から子供たちが集まり、みんなで小豆ごはんを食べきるとこちらを船のようにして川へ流したのだそう。

奥へ進むと、互い違いの鷹の羽が目印の旧阿部の家紋がありました。

鷹は美しい姿や雄々しい振る舞いで、人間と感情をかわすことができる鳥とされています。この家紋は、その鷹のように高貴とされる武士のシンボルのようなもので、被り物に鷹の羽を差すなどの習慣もあったようです。鷹の羽は武器である矢の羽根として用いられたことから、鷹の羽紋は武家に好まれていました。

さらに奥に進むと昔の電話、ミシン、タイプライターなどの調度品や、戦争に使っていた兜、貨幣、またこの地域に受け継がれている伝統芸能獅子踊りで使っている花笠や着物の羽織物がありました。この獅子踊りに関しても、山元地区の中で、坂本集落・鹿島集落・桜林集落と3つの集落で江戸時代頃から行われている伝統芸能だが、現在は桜林集落のみで行われているのだそう。

阿部家を出てすぐそばには、この集落の産直「山友直売」があります。外には川ガニが大・中・小三つのバスタブにかぼちゃとともに入り販売されている。この川ガニ・・・いわゆるモクズガニであるが、エサはサンマをまるまる一匹籠に入れて漁を行い、引き上げたあとはかぼちゃをエサとして上げることで、カニの体内の老廃物を出し、味噌も黄色く濃厚になり美味しく食べられるようになるのだそう。10月末が最後のシーズンで、ここからはどんどんサイズとしても小さくなって販売しなくなっていくのだという。その他産直の中には、もだし、わらび、せんぶりなど山の幸が販売されてます。

こちらの産直の店主である小林・山元地区の自治会長、阿部 清志さん。実はこの産直2020年11月で閉店を予定。非常に残念である。

「閉店後は何するんですか?」と尋ねると、「カラオケボックス」でもやるかな・・・と、この地区で暮らしていくことを楽しそうに笑いながら語ってくれた。

センターへ戻る途中雨が降り出しました。山の雨は強くびしょびしょに濡れながら戻ると、奥の部屋には旅館で出てくるような立派な御膳が並んでおりました。こちらがわいわい工房のお母さん方が作る里山御膳です。

メニューは下記の通り。

  • むかごご飯
  • ガニ汁
  • あけび味噌のワンタン包み揚げ
  • サツマイモの天ぷら
  • イチジクのワイン煮
  • ゼンマイのおひたし
  • ふきとしらすのおひたし
  • にんじんのポン酢
  • 鳥だんごの塩こうじよせ
  • 茶碗蒸し
  • モダシのなま酢
  • 漬もの三種
  • 庄内柿
  • ブドウ酒ジュース

以上14品

山から頂いた恵みを品数豊富な料理に変えて、11の小鉢・小皿でご用意頂きました。漬物の入った竹の器は、お母さんたちの手作り。

そして、こちらが参加者のみなさんが楽しみにしていた「ガニ汁」です。カニの手足とカニ味噌をとるとミキサーで粉砕して作られるこのお汁は、濃厚なカニの風味とカニの身のタンパク質が固まりふわふわの食感が一度食べると病みつきに。

外から来た私たちを歓迎してくれるように、せっせせっせと会場内でお汁とご飯をとりわけ運んでくれるお母さんが方の心遣いがありがたかったです。

さあ、お腹もいっぱいになってとこで午後のワークショップがスタート。午前中のフィールドワークの気づきを生かしてここ山元に人を呼び込むためのビジネスアイデアを考えていきます。午後のワークショップのファシリテーションは鶴岡ナリワイプロジェクト代表・井東敬子さん。

はじめのワークではみんなが今日感じたことで山元のすごいところ、良いと思ったところを箇条書きで書き出します。その後5人のグループでシェアをしあい、雑談でアイデアを膨らませながら、ビジネスアイデアに落とし込みます。

ガニ獲り選手権、ヨガ体験、花の教室、バーチャル背景、未整備県道トレッキング、子どもと一緒に自然遊びなどなど、ここ山元に外部から人を呼ぶ様々なビジネスアイデアが生まれました。その数20種以上。

今を生きる地域の方々の想いと、昔からある文化遺産や根付いている食文化がここにはある。生の体験を通じて、観光パンフレットに載らないような話をたくさん知ることができた。2年前に地域おこし協力隊の霞本祐一朗さんが入ったことで、わいわい工房のお母さん方も地域の男性を巻き込みながら、この地域を元気に盛り上げようと楽しそうに料理を作っていた。

地域の方も今日のワークショップを経て、山元地区の可能性を見出し希望に満ち溢れているような様子であった。今後この会で出たアイデアは地域住民の方と一緒に事業に落とし込んでいくのだということで、これからの山元地区の発展が楽しみである。

(取材日:2020年10月24日土曜日)

※本イベントは、新型コロナウイルス対策として、消毒・マスクの着用を徹底して開催しました。

尚、同日イベントにもご参加された阿部彩人さん(酒田市八幡地域大沢地区の地域おこし協力隊)が山元地区のPR動画を制作しております。その名も「みんなのふるさと、やまもと。〜山形県酒田市平田地域 山元地区 PR動画〜」

地域内外の地域おこし協力隊と住民がコラボレーションして、山形県酒田市平田地域山元地区の「不思議な」魅力を全国、全世界に伝えていくために発信。こちらの方もご覧くださいませ!!

ABOUTこの記事をかいた人

都会での子育てに課題を感じて、家族を連れて三川町地域おこし協力隊として山形県・庄内地方に移住! 「人生思い出作り」をライフコンセプトとして、「書くこと」「話すこと」「場作り」事業で情報発信。 ・エフエム山形やまがた子育て応援ラジオ「SmileBox」パパパートナー ・酒田エフエム放送ハーバーラジオ(76.1Mhz)番組パーソナリティとして地域の魅力を発信中!